トンヌラの弓道

現役部活動指導員の初心者ガイド

【ゴム弓・完結編】弓道の核心!「引き分け」「会」「離れ」を自宅でマスターする練習法

ゴム弓を使った射法八節の完結編。「引き分け」「会(かい)」「離れ」という弓道の核心動作を、背中の筋肉を使った正しい型で自宅で習得するための解説記事のアイキャッチ画像


第5記事で、射法八節の前半(弓構え〜大三)の型が整いました。お疲れ様です!

いよいよ今回の第6記事で、ゴム弓練習はクライマックスを迎えます。弓道の核心である「引き分け」「会」「離れ」をマスターし、射の全ての動作を繋げます。

これらの動作は、正しい体の使い方を理解していないと、すぐに「手繰り(たぐり)」などの癖がついてしまいます。ゴム弓で背中の使い方を徹底的に覚えましょう。

ステップ1:体で弓を引く「引き分け」

引き分けは、弓を左右に広げていく動作です。腕力ではなく、いかに体幹と背中を使うかが全てです。

【最重要】「腕力」で引くことの危険性

弓を「引く」のではなく、「体を割るように左右に広げる」意識を持ってください。

  • 危険な連鎖: 腕力で引くと、①肩が上がり、②馬手(右手)に余計な力が入ります。
  • 結果: 馬手の手首が内側に曲がる「手繰り(たぐり)」という深刻な癖がつきます。
  • 対策: ゴム弓を引く際、手首ではなく、肘と背中から動かす意識を常に持ちましょう。

「引き分け」で背中の筋肉を使う理由

背中を使うことで、最も安定した強い力が生まれます。

  • 使う部位: 肩甲骨と背中の広背筋(わきの下から背中にかけての大きな筋肉)です。
  • 感覚: 満員電車でドアを両腕で押し開けるような、左右均等に押し広げる感覚です。
  • メリット: 肩や手先に負担がかからず、安定した状態で「会」に入れます。

ゴム弓を使った「左右均等」ドリル

左右の力のバランスを確認します。

  • 意識: 馬手(右手)で引く力と、弓手(左手)で的へ押す力を同時に感じます。
  • チェック: 動作中、胴造りの軸が左右どちらにも傾かず、一直線上にあるか確認します。
  • ドリル: ゆっくりと引き分け、左右の腕の長さや高さが変わらないか鏡でチェックします。

【自宅ドリル】肩甲骨を意識する練習

引く前に、使う筋肉の動きを把握します。

  • 方法: 両腕を前に伸ばし、ゴム弓を引くのと同じように肩甲骨だけを背中の中心に寄せる練習を繰り返します。
  • ポイント: このとき、腕や手は力を入れず、背中の動きに連動して動くだけであることを確認します。

ステップ2:全てが凝縮される「会(かい)」

会は、引ききった状態で、矢を放つ前の数秒間に力と精神を集中させる静止動作です。

なぜ「会」は長すぎても短すぎてもいけないのか?

「会」の長さは、矢の安定性と的中を左右します。

  • 短すぎると: 気持ちが焦り、射の形が整う前に離れてしまう「早気(はやけ)」の原因になります。
  • 長すぎると: 筋肉が疲弊し、力が緩んだり(緩み)、形が崩れたりします。
  • 理想:「伸び合い・詰め合い」: 引ききった後も、上下左右にさらに引き伸ばす意識を持ち続けます。

ゴム弓を使った「伸び合い」静止練習

会でさらに力を込める練習です。

  • 練習: 最後までゴムを引ききった状態で静止します。
  • 意識: 満ち足りた状態から、わずか1ミリでも左右にゴムを伸ばし続けようと意識を集中します。
  • 目標: 最初は3秒、慣れたら5秒と、徐々に静止時間を延ばしてみましょう。

【呼吸の意識】会での正しい呼吸法

体力の消耗を防ぎ、安定した「会」を保ちます。

  • 方法: 引き分けに入る前に息を吸い、引き分けながら静かに息を吐ききります。
  • 会での状態: 息を吐ききった「腹圧(丹田の力)」を保ち、苦しくなっても深い呼吸を避けます。
  • 感覚: 呼吸が止まっているのではなく、自然な極めて浅い呼吸になっている感覚を目指します。

ステップ3:射の決着「離れ」と「残身」

離れは、これまでの全ての動作の結果が凝縮され、自然に起きる現象です。

力を抜く「離れ」の感覚

「離そう」と意識して指を開くのは間違いです。

  • 理想: 「伸び合い」と「詰め合い」の限界に達したとき、馬手の握りが耐えきれずに自然に解放される感覚です。
  • 意識: 馬手の力を抜く方向は、的の反対側(真後ろや斜め後ろ)へ向かって一気に開放します。

ゴム弓を使った「離れ」の爆発練習

ゴム弓で、離れのキレを養います。

  • 練習: 「会」の状態で伸び合い、馬手側の力を一気に抜き、肘を後ろへ弾く練習をします。
  • 注意: 馬手の指先でゴムを「こねる」のではなく、手首から先を力を抜き放つことが重要です。

動作後の静止「残身(ざんしん)」の形

矢が的中するまで、形を崩してはいけません。

  • 役割: 残身は、射の最終確認と精神の維持を表します。
  • 意識: 離れた後も、体が的に向かって伸びている意識(伸び合い)を数秒間保ち続けます。

まとめ:ゴム弓練習の完結と次へのステップ

第4〜6記事で、ゴム弓を使った射法八節の全ての型を学びました。お疲れ様でした!

本日の練習ポイント

  • 引き分け: 腕力と手首を使わず、背中の筋肉と肘で広げる。
  • 会: 伸び合いの意識を保ち、腹圧で体を安定させる。
  • 離れ: 自分で離さず、自然な解放を目指す。

次回予告:弓道部員特有の悩み解決へ

技術の基本は固まりましたので、次回からはカテゴリ「🏫 部活動・指導の悩み」の記事に進みます。

「指導者がいない場合の練習メニュー」など、部活動ならではの悩みを解決する記事を作成します。お楽しみに!