トンヌラの弓道

現役部活動指導員の初心者ガイド

【ゴム弓で自宅練習】初心者がまずマスターすべき「足踏み」「手の内」「胴造り」の3大基本

弓道の「射法八節」のうち、「弓構え」から「大三」までの前半の動作を、ゴム弓を使った自宅練習で習得するための解説記事のアイキャッチ画像。


第3記事で、いよいよ【ゴム弓】の準備が整ったと思います。

指導者がいない環境の初心者にとって、ゴム弓はただの筋トレ器具ではありません。弓道を上達させるための「最高の土台」を作るためのツールです。

この第4記事では、ゴム弓を使って自宅でできる【基本の体づくり】に集中します。高額な弓を引く前に、正しい体の使い方を覚えれば、上達スピードは格段に上がります。

今日覚えるのは、全ての動作の基礎となる「足踏み」「手の内」「胴造り」の3つです。一つずつ確実にマスターしましょう。

【最重要】ゴム弓練習の4つの目的とメリット

ゴム弓の練習が上達への最短ルートである理由を明確にします。「とりあえず引いてみる」のではなく、目的を持って練習することが大切です。

動作の全体像を掴む(射法八節の順序学習)

弓道の一連の動作(射法八節)は非常に複雑です。しかし、最初は順序だけを覚えれば大丈夫です。

  • 目的: 全体の流れを知ることで、次に何をすべきか迷わなくなります。
  • 方法: 動作の名前手順だけを、ゴム弓で確認しながら繰り返します。
  • 注意点: 複雑な技術解説は一旦忘れ、動作の全体像を優先しましょう。

弓道特有の「引き方筋力」をつける

弓道で使う筋肉は、日常生活や他のスポーツではなかなか使いません。

  • 鍛える部位: 背中の筋肉、特に肩甲骨周り体幹
  • 効果: 正しいフォームで引くための筋力がつき、怪我の予防にも繋がります。
  • メリット: 実際に弓を引く際、腕力に頼らず、体全体で引く感覚を早く掴めます。

正しい手の形「手の内」の基本を覚える

ゴム弓の握りを利用し、弓を持つ手(弓手)の正しい形を体に覚え込ませます。後の上達に直結する、最も重要な基本です。

  • 握りの深さ: 弓の握り皮が親指の付け根(虎口)に深く当たるように握ります。
  • 三指の揃え方: 人差し指・中指・薬指の三指を軽く揃え、力を入れすぎないようにします。
  • 親指の角度: 親指の腹で握り木の角を押さえ、親指の付け根を締める意識を持つことが重要です。

「足踏み」「胴造り」「手の内」の基本動作を磨く

射法八節の全ての動作は、この3つの土台の上に成り立っています。この土台を先に磨くことが、上達の鍵です。

  • 足踏み: 下半身の土台。体が左右にブレることを防ぎます。
  • 胴造り: 上半身の軸。体の中心(体幹)を安定させます。
  • 手の内: 道具を扱う基本。正確な形が弓の操作を決めます。

ステップ1:全ての動作の土台「足踏み」を作る

「足踏み」は、射(射法八節)を始める前に作る、最も重要な土台です。

なぜ足踏みは「最初の難関」なのか?

正しく立つことが、弓道では最も難しいとされます。足踏みは姿勢の安定、そして体の中心線(軸)を確立するための動作です。

  • 土台の役割: 頑丈な家を建てるのと同じで、土台が歪むと全ての動作が崩れます。
  • 重心の確立: 左右の足に均等に体重を乗せ、ブレない軸を作ります。

足踏みの具体的な手順と角度(60度)

指導者がいなくても正確にできる、足幅と足先の角度の作り方です。

  • 足幅: 自分の矢束(やづか)の長さを基準に決めます。正確な矢束が分からない場合は、肩幅を目安とします。
  • 足先の角度: 左右の足先を広げ、両足の線が60度になるように開きます。
  • 確認方法: 畳の縁や床の線など、まっすぐな線の上に立つことで、足の角度が正確か確認しましょう。

ゴム弓を使った足踏みの最終チェック

足踏みができたら、実際に体を動かしてチェックします。

  • 足の裏の意識: 足の指、土踏まず、かかと全体で地面を捉える感覚を持ちます。
  • ブレ確認: 足踏みをしたまま、ゴム弓をゆっくりと頭上まで上げ下げします。
  • ポイント: この上下動の間、体が左右に揺れたり、重心が移動したりしないかを確認しましょう。

ステップ2:ブレない軸を作る「胴造り」

胴造りは、足踏みで作った土台の上に、まっすぐな軸(体幹)を立てる練習です。

「体の中心(丹田)」とはどこか?

弓道では、腕の力ではなく、体の中心(軸)を使います。その中心となる場所を意識します。

  • 意識する場所: へその下にある丹田(たんでん)」です。
  • 体幹の安定: 丹田に意識を集中し、腹筋全体に力を入れることで、体幹のブレを防ぎます。

壁を使った姿勢矯正ドリル

背骨のS字カーブを意識し、不必要な力を抜いた正しい姿勢を覚えます。

  • 方法: 壁に後頭部、背中、お尻、かかとの4点をつけます。
  • チェック: 壁と背中の間に手のひら一枚分の隙間があるか確認します。(反り腰のチェック)
  • 意識: 骨盤を無理なく立て、肩の力を抜き、背筋を自然に伸ばした状態を体に覚え込ませます。

胴造りを維持するゴム弓の練習

胴造りの姿勢を保ったまま、ゴム弓の動作を行います。

  • 練習: 足踏みと胴造りの姿勢を完璧に作り、ゴム弓をゆっくりと上げ下げします。
  • 最重要ポイント: 上肢を動かしている間も、丹田の意識が途切れず、壁に付けた背中の状態が崩れないかを常にチェックします。

まとめ:次への準備「胴造りと手の内」で立ってみよう

本日は、射の土台となる3つの基本をマスターしました。焦らず、この基本練習を毎日繰り返すことが、確実な上達に繋がります。

本日の練習ポイント

  • 足踏み: 60度の角度と矢束幅を基準に、ブレない土台を作る。
  • 手の内: 親指の付け根を締める意識で、正確な握り方を作る。
  • 胴造り: 丹田を意識し、壁を使ったドリルで体幹の軸を安定させる。

次回予告:いよいよゴム弓で「射法八節の前半」へ

基本の体づくりができたので、次回の記事ではゴム弓を使った次のステップに進みます。

いよいよ「弓構え」「打起し」「大三」といった、弓を引くための前半の動作の練習に入ります。お楽しみに!